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【SS小説】サイコ・インティライミ【微グロ注意】

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サイコ・インティライミ

 

【この小説はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません】

 

 

 都内で、すでに二十三人が殺されている連続殺人事件。この事件を担当する警視庁捜査一課は今、この事件に忙殺されていた。

 

 いや、警察だけではない。ものの見事に、すべての日本国民がこの事件を”消化”することに忙殺されていた。言い換えれば、犯人に踊らされていた。

 

 そのほとんどが残虐、凄惨な犯行で、現場で嘔吐する捜査員も少なくない。殺人現場には必ずメッセージが残されており、ときに死体そのものがメッセージとなっていることもあった。

 

 それらは暗号を解くと、「僕は男である」とか「身長は172センチ」というような犯人に関する直接的な情報や、「太陽」「祭り」「ケチュア語」などの、何かを暗示するような言葉になる。

 警察は当初、これらのメッセージを公表しなかった。犯人しか知り得ない情報を残しておけば、どこかでボロを出す可能性が生まれるからだ。

 

 しかし、やがて犯人は犯行現場の写真をネット上でバラまくようになった。7件目の殺人からだ。5ちゃんねる。Twitter。Facebook。マストドン。時にはmixiなども使用して、写真と暗号に加えて、挑発的な文面を書き込んでいくようになった。

 

 

「こんにちは!!今世間を騒がせてる連続殺人事件の犯人で〜す!!僕からのメッセージ、受け取ってね!!」

 

 

 犯人のものと思われるこの最初の書き込みは、Twitterで"発見"された。デフォルトアイコンの新規アカウントが、大量の有名人アカウントにリプライを送っていたのだ。

(この書き込みを「犯人のものではないか?」と、最初に発見し拡散したのは、堀江貴文への全てのリプライを監視していると思われる― ―ストーカーに近い― ―ユーザーだった)

 

 そこから毎日が「祭り」となった。犯人のメッセージが「祭り」だったのは十五件目の殺人だが、七件目のころから、この連続殺人事件についての報道を目にしない日はない。

 

 ネット上にはさまざまな者がいた。犯人からの暗号を解くスピードを競う者、「松戸市××に住んでるこいつが犯人」というようなデマを流す者、犯人の尻尾さえつかめない警察の無能を糾弾する者、責任を取って現政権は退任せよと叫ぶ者……

 それらはある種ネットの”通常運転”であるが、バンドマンとタレントが不倫したとか、政治家がコーヒー代をちょろまかしたとか、普段のどうでもいいニュースで消費される時間と話題は、全てこの事件に注ぎ込まれている。この事件の話をする者も、しない者も、みんな巻き込まれているのだ。否応なしに。

 

 犯人の書き込みで使われるIPは毎回違う場所から。千葉県野田市、柏市、三重県亀山市、タイ、ケニア、ブラジル、エジプト……ここから書き込まれたのは間違いないという場所に踏み込んだ結果、その家のPCがハッキングされていたこともあった。

 しかもそのPCをハッキングしていたPCもハッキングされていたもので、手口は非常に巧妙。ネット経由で犯人に辿り着くのは不可能と思われた。

 

 

 犯罪に必要なスキル全てを、異常な高レベルで習得しているサイコパス。殺人に一切の良心の呵責はなく、世間を騒がせることに喜びを感じる。 

それが、警察の分析する犯人像だった。世間の認識も概ね一致していたし、実際に、その通りだった。

 

 犯人の残したメッセージに「太陽」「祭り」「ケチュア語」があったことから、日本テレビ『ミヤネ屋』がこの事件に『インティライミ事件』という呼称を最初に使い、徐々に浸透していった。そこから、犯人のことを『インティライミ』または『サイコ・インティライミ』と呼ぶ者も、少しずつ増えていった。

 

 

― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―― ―

 警視庁捜査一課所属、西島秀俊巡査部長。彼も、インティライミ事件に忙殺されている一人だ。犯人は自らの情報を大量に残している。にも関わらず、捜査には未だ何の進展もない。苛立ちはあるが、数日ぶりに帰宅できる喜びはそれを上回っていて、疲れとは対照的に明るい気分だった。

 

 深夜三時。妻と息子を起こさないよう、静かに自宅のドアを開ける。

 

「……ただいま……」

 

 この時間に帰宅すると、家族はもう寝ている。そのことは当然わかっていた。しかし、血生臭い事件を扱う仕事場から、平穏を感じられる自宅に帰ることができたということを確認するためのルーティンとして、西島は帰宅すると必ず「ただいま」と言うようにしていた。小声で、そっと、ささやくように。

  

 水を一杯飲んで、シャワーを浴びて、少し眠ろうと思った。忙しいときは、これもルーティンだ。23人も殺されている上に、殺人のペースはどんどん速くなっている。犯人の残すメッセージ、被害者の共通点、犯行現場の法則性……調べなければいけないことはどんどん増えていく。

 

「……インティライミはサイコパスの異常者なんだから、そういうの考えたって無駄だよなあ。やってることに法則性なんてあるわけねえよ。結局捜査は足で稼ぐしかねえっての……」

 

 西島は、家で仕事の話はしないことにしている。この独り言はルーティンというわけではない。異常すぎる事件と、自分の信条と異なる捜査方針への単純な愚痴だ。

 

 

 

 そしてリビングに入った西島は、暗い部屋の中央に”それ”を見つけた。『2001年宇宙の旅』のモノリスのように見えた”それ”を、妻が何か変なものを買ってきたのかと思いながら電気をつけ、西島の頭の中は真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 モノリスが、妻と、一歳になったばかりの息子だったと気づくのに、西島は数分を要した。

 

 

 

 

 

 

【この小説はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません】

 

(続かない)

(誰か続き書いて)

(このあとは事件に巻き込まれたフリーターの藤原竜也が叫びまくったり)

(星野源が黒幕っぽいけど結局ナオト・インティライミに殺られたり)

(星野警視ってキャラが出てきてこれ星野源と思わせといて実は星野源と結婚したガッキーという叙述トリックがあったり)

(東出昌大はすげー頑張って捜査するんだけど結局ナオト・インティライミに殺られたり)

(西島秀俊は妻子を殺したナオト・インティライミに対する復讐を完遂するんだけど実は一連の殺人事件はナオト・インティライミだけじゃなくてインティライミウイルスっていう超人&サイコパス化しちゃうやべーウイルスに感染した複数の犯人によるもので西島は結局別のインティライミに殺られたり)

(インティライミウイルスがどんどん進化して感染した人類はもはや生物学的に人間ではなくインティライミという別の生き物とされたり)

(最終的にはインティライミウイルスが世界中に広がって人類が絶滅したり)

(続編は数千億年後宇宙の遥か彼方で奇跡的に誕生した人類とほぼ同じ生物が地球に辿り着いてインティライミと壮絶な生存競争を繰り広げるというそれなんてテラフォーマーズかGODZILLA怪獣惑星ですかって感じの全く別ジャンルの小説になったり)

(みたいなクソプロットを考えるのってとても楽しいですね)